タミフルに耐性を持つインフルエンザウイルス

現在インフルエンザの治療が可能な抗ウイルス薬で主流なのは、1990年に発売されたザナミビル含有薬のリレンザと1996年に発売されたオセルタミビル含有薬のタミフルです。かつてはインフルエンザ患者への処方薬を選ぶ際にはほぼ100%タミフルが選ばれるような時期がありましたが、現在はウイルスの種類や患者の状態に応じてはタミフルではなくリレンザも選ばれるケースが出てきています。
患者に応じてインフルエンザ治療薬が使い分けられるケースが増えてきた理由の一つとして挙げられるのは、タミフルに耐性をもつインフルエンザウイルスが何種類か発見されていることです。人間は同じ医薬品を長期間投与され続けると、徐々に耐性を持つようになって医薬品の効果が十分に得られなくなっていきますが、この現象は細菌やウイルスにも起こります。ウイルスの場合は、病原菌の構造が変化することによって薬物に対する抵抗性を獲得します。耐性ウイルスは、当然のことながら耐性を持つ薬剤をいくら投与しても死滅することはないため、死滅させるためには全く別の薬剤を投与しなければなりません。
日本でタミフル耐性のインフルエンザが流行した例として知られているのは、2008年から2009年にかけての流行期です。このシーズンに流行したAソ連型(H1N1型)のインフルエンザウイルスはほとんどがタミフル耐性ウイルスだったため、このシーズンではそれまでのシーズンよりリレンザが投与される量が大幅に増加しました。この耐性ウイルスの流行期が終了した直後に新型インフルエンザが世界的に流行しましたが、こちらのインフルエンザウイルスはオセルタミビルへの耐性は殆ど無いといわれており、治療の際にはタミフルが多く用いられました。